今、この場所になぜ自分がいるのか


by mori_0

<   2005年 05月 ( 1 )   > この月の画像一覧

九鬼周造の情緒の系譜

◎情緒の系図
 快・不快の感情
 心の内奥に深く感じられる感情
     デカルト
  嬉しい----現在の善という意識---精神が一層小さい完全から一層大きな
                 完全への推移
  悲しい-----現在の悪という意識--精神の一層大きい完全から一層小さい
                 完全への推移
    リボーの悲しみ
    積極的なもの---運動の消費---骨の折れる仕事や新しい労働の表象
         |
     両者の混合---金満家が破産してまたもう一度盛り返す
         |
     消極的のもの--運動の停止---欠損や喪失の意識
 嬉しい悲しいの情緒の外部へ向かって方向を提示された場合
  喜び   嘆き
  楽しい--空間的意味のほかに、時間的の意味を有っている
  ------------------------------------------------------
           | 喜び  | 嘆き  | 
     楽しい  | 嬉しい | 悲しい | 苦しい
  ------------------------------------------------------
     楽受   | 喜受  | 憂受  | 苦受
  ------------------------------------------------------
         順  情    |    違   情
  ------------------------------------------------------
  無分別的  | 分別的 | 分別的 | 無分別的
  ------------------------------------------------------
  嬉しさ、悲しみ、喜び、嘆き、楽しい、苦しみの六つの図式

  嬉しさは大きく発散すると「笑み」を越えて「笑い」に爆発する
客観的情緒---対象への志向生を主要な内容とする一群の情緒がある。時間的
      に着色された愛憎の様相
 「愛」---対象が我々に「嬉しさ」を起こさせるものであればその対象に
     対して我々は「愛」を感じる
 「憎」---「悲しみ」を起こさせるものであればその対象に対して、憎を
      感じる
 「親しい」---愛の対象との交渉が、その時間的存在に於いて、起始から
       出発して或る濃度に達すると「親しい」という内包的感情
       が生じる。愛の対象の現在性によって規定
 「懐かしい」--過去を回顧しながら対象を愛する特殊の過去的感情
        愛の対象の過去性によって契機される。
 「恋しい」---愛から派生した未来的感情、対象の欠如を未来に於いて補充
       しようとする志向を有す
 「寂しい」---片割れが片割れとして自覚する感情
 「わびしい」---「寂しい」に「悲しい」が加わったもの
----------------------------------------------------
 「煩わしい」---憎の対象の存続に対する「煩わしい」という世紀末的感情
 「悔」---憎の対象を過去に回顧する過去的感情
     過去の想起を主要契機としているが、特に自己の過去または罪悪に
     関する想起である
 「恐れ」----憎の側の未来的感情。事物および事象の未来に於ける生起に
      対する憎しみの情緒
時間的規定を離れて
 1.対象そのものの一般的存在性格に規定されているもの
 2.対象の特殊的作用に規定されているもの
 3.対象の所有性格に規定されているもの
1.「労り」----愛する対象が自己よりも小さい場合
      愛する対象の所有物が憎むべきものである場合
 「優しい」---「労り」という客観的感情の裏面には「優しさ」という
        主観的感情がある。
 「畏れ」---愛する対象の存在が自己より著しく大きい場合に起こる感情
 「甘え」---愛する対象の存在性が自己より著しく大きい場合の感情
      「畏れ」の場合に愛情が濃やかである場合に起こる感情
 「蔑み」---憎む対象の存在性格が自己より小さい場合おこる感情
 「諦め」--憎む対象の存在性が自己より著しく大きい場合起こる感情
2.「恩」---愛すべきものが与えられた場合に愛を以って反応するのが「恩」
     すなわち感謝の情である。
 「怒り」---憎むべきものが与えられた場合に憎しみを以って反応する情
      興奮的突発的
 「怨み」---怒りが抑鬱的持続的になった情 
 「憤」---怒りが正義感に根ざして道徳的様相を取ったもの
3.「誇り」---自己の所有物が、愛すべきものであれば「誇り」の感情が起こる
 「恥じ」--自己の所有物が、憎むべきものであれば「恥じ」の感情になる。
 「羨ましい」----他者の所有物が、愛すべきものであれば「羨ましい」の
         感情が起こる。
 「妬み」--他者の所有する愛すべきものを、自己が代わって所有しようとする
      競争心が加わると、「羨ましい」が「妬み」になる。
 「いい気味」---他者の所有物が、憎むべきものであり、他者が憎の対象で
        ある場合に起こる
 「憐れみ」---他者の所有物が、憎むべきものである時には、他者は憎の対象
     であるよりはむしろ愛の対象であることが多い。その時起こる感情。
 「もののあわれ」--万物は有限な他者であって、且つまた有限な自己である。
         それが所謂「もののあわれ」である。
      「もののあわれ」とは万物の有限性からおのずから湧いて来る自 
       己の内奥の哀調にほかならない。客観的感情の「憐れみ」と、
       主観的感情の「哀れ」とは互いに相制約している。
緊張弛緩の未来的感情
1.「欲」---欲の対象は常に未来の圏内にあるから、欲の情緒は緊張を本質とす 
     る。欲が可能的対象へ緊張するのは、現実に於ける対象の欠如に基
     づいている。欠如に対する主観的感情が「寂しさ」である。人間が
     個体として存在する限り、存在の継続の「欲」と、個体性の「寂し
     さ」とを根源的情緒をもっている。「寂しさ」は一方に自己否定に
     於いて「恋しさ」の裏ずけに集中する。
     欲が達せられた場合に緊張が弛緩して「満足」の情が生じる。
2.「疑」と「惑」---対象が一定しないで、対象と対象との間を振り子のように
         来往するところに一種の緊張感が生じるのが「疑」と「惑」
         とである。
         未来に残されている決定の根拠が客観の側にあると考えら
         れる場合が「疑」の情緒、主観の意志に依存すると見られ
         た場合が「惑」の情緒。
3.「希望」「心配」----「欲」の対象への到達に関して「疑」がある場合に「希
           望」と「心配」とを生じる。
 「希望」---愛すべき対象を未来の時間的地平に有ち且つその到来に或る度の
      可能性がある場合に起こる情緒。張りきった快感。
 「心配」---憎むべき対象を未来の時間的地平に有ち、且つその到来に或る度
      の可能性がある場合に起こる感情。張りきった不快感。
 「確か」---蓋然性が確実性に達した場合に起こる感情---弛緩した快感。
 「絶望」---蓋然性が次第に減少して零になれば起こる---弛緩した不快感。
      絶望は希望の側から減少の極限として、感じられるものであるが
      心配の側から見れば心配通りの結果になった場合である。
 「失望」---希望が反対の結果に突然なった場合に起こる。弛緩した不快感。
 「安心」---心配が反対の結果を見た場合に起こる情緒。弛緩した快感。
 「不安」---「希望」ー「心配」関連のなかの「疑」の契機に主観的「惑」も
       加わった一種の全体的緊張感の情緒。
      一か他かの決定をはらんでいる危機的情緒。不安は不快だとは限
      らない。緊張感の具体的全体として不安は人間欲の緊張そのもの
      によって本質的に制約された気分。未来の可能性を本質としては
      らむものの懐妊の情緒。
興奮、沈静の感情が指導的意味を有っている情緒
 「驚き」---興奮、沈静がし動的意味を有つ情緒。
      快、不快のいづれにも属しない謂ゆる中性的無記感情
      不苦不楽受である。
      *偶然性に伴う存在論的感情
       偶然--1.何か有ることも無いこともできるようなものが
           偶然である。
          2.何かと何かとが遇うことが偶然である。
          3.何かまれにしかないことが偶然である。
 「珍しい」---3.の性質である稀有ということは一種の独立した情緒に展開する
       無記性からの快感へ移りかけている。
 「可笑しい」---「珍しい」ことが同時に小さいことであって、そうして突然
         に場面に出現する。この驚きの感情の一種を起こす。
 「厳か」---珍しいことが同時に大きいことである場合の驚きは「厳か」
      である。
 「美しい」---(珍しいことの)雑多の統一に対する驚きの感情。
 「怪しい」--驚きの対象に関して存在の理由が知性の透徹を欠くときこそに
      「疑」が混入して「怪しい」という感情が起こる。
-----------------------------------------------------------
第一に生存または存在そのものに関する「驚き」と「欲」。
第二に特に自己保存に関する「恐れ」と「怒り」。
第三に種族保存に関する「恋」とその裏面の「寂しさ」。
第四に生存の充実不充実の指標として主観的感情の「嬉しい」「悲しい」。
                 客観的感情の「愛」「憎」。
[PR]
by mori_0 | 2005-05-26 20:53